roy > naoya > 情報リテラシー > (13)著作権
卒業論文やレポートを作成する際には、書籍や雑誌記事、新聞、インターネット上の文書など、様々な資料を参考にすることが多い。こうした資料の内容を自分のレポートに記載する場合、適切な方法を用いなければ、剽窃(ひょうせつ)=パクリ・盗作となってしまう。剽窃は後述する「著作権」の侵害となり、告訴された場合は5年以下の懲役または500万円以下の罰金となる。
著作権の保護対象となる著作物は、著作権法(第2乗1項1号)により次のように定められている
思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの
したがって、以下はいずれも著作権法上の著作物に該当する。
著作権(著作財産権)は著作物の利用を許諾したり禁止することで著作者が経済的損害から守られる権利(=自分が創作したものを他人に勝手に利用されないための権利)であり、著作者が個人の場合、死後50年まで保護される。
著作物を利用したい場合は、著作権者から許諾を得る必要がある。書籍やWebページの内容の完全な丸写しや多少いじっただけで、あたかも自分の書いた文章であるかのようにレポートに掲載する剽窃は、著作権侵害となる。
では、書籍やWebページに記載されている情報を利用する際には全て著作権者に許諾を取らなければならないのであろうか。
著作権の保護期間内であれば、著作物を利用するためには原則として著作権者の許諾を得る必要がある。しかし、以下のようなケースでは著作権が及ばないため、著作権者への許諾を得る必要がない。
このうち、レポート作成に関係するのは4番の引用である。
引用について、著作権法(第32条1項)では次のように定めている。
「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の 引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」 (著作権法第32条1項)
公正な慣行とは、以下の条件を満たすということになる。
したがって、長々と引用し最後に自分の意見を数行書く程度では引用とは認められないし、自分は引用しているつもりでも本文と引用部分が区別できなければ引用とはならない。また、出所を明示しなければ引用とならないし、読み手が引用した文章を読んでみたいと思ってもその文章を入手することも出来なくなってしまう。
一字一句、資料の通りに正確に記述する。短い場合は「」でくくる。長い場合は前後を1行あけ、引用部を全体的にインデントする。
神田は、自転車運転中の携帯電話を用いた通話が運転パフォーマンスにおよぼす影響を調べ、「携帯電話通話運転では、ふらつきは片手運転と同程度であるが、ライト点灯への遅延反応が生じ、外界に対する注意の低下が見られる。」1)ことを指摘している。
神田(2008)は、自転車運転中の携帯電話使用が運転パフォーマンスにおよぼす影響を調べ、以下の結果が得られたことを指摘している。
メール条件では、他の全ての条件と比較して走行ポジションのRMS値が有意に増加し、両手条件、片手条件と比べて反応時間が有意に増大し、走行速度が有意に低下した。また携帯電話に対する総注視時間、1回あたりの注視時間は、前方に対する注視時間よりも長く、2秒を超える注視も確認された。通話条件では、両手条件と比べてRMS値、反応時間が有意に増大し、両手条件、片手条件と比して走行速度が有意に低下した。また携帯電話を使用した2条件では、ライト点灯に対する反応課題において遅延反応数が多かった。
また、・・・
これらの引用元の文書は引用文献としてレポートの末尾に一括で示す。なお、・・・見られる。」1)の1)や神田(2008)は、最後に一括して示す引用文献のリストとの対応関係を示すための引用マークであり、どちらの方法で書いてもよい。1)の場合は、引用部が出てきた順に通し番号をふっておく。名字(年数)の年数はその記事、書籍の発行年を記載する。著者が複数の場合、2名までであれば、神田・佐藤(2005)とし、3名以上であれば、神田ら(2006)とする。
この場合は、必ずしも「」でくくる必要はないが、引用したことがわかるように名字(発行年)もしくは1)といった引用マークをつける。
神田(2008)は、自転車運転中の携帯電話を用いた通話が運転パフォーマンスにおよぼす影響を調べ、ふらつきの度合いは単純な片手運転と同程度であるが、ライト点灯に対する遅延反応が生じることを指摘している。
自転車運転中の携帯電話を用いた通話が運転パフォーマンスにおよぼす影響として、ふらつきの度合いは単純な片手運転と同程度であるが、ライト点灯に対する遅延反応が生じること1)が指摘されている。
引用マークのつけ方により、記載する順番が異なる。1)、2)、3)・・・と通し番号をつけた場合は、番号順にする。名字(発行年)の場合は第一著者の名字の50音順とする。同一著者の複数の資料を引用している場合は、発行年の古い順に並べる。
引用文献として記載する情報は、読み手がその資料を入手する際に必要な情報である。
書籍の場合:著者、書籍名、出版社、発行年
書籍の中の特定の章の場合:章の著者、章のタイトル、書籍の編者、書籍名、ページ、出版社、発行年
論文や雑誌記事の場合:著者、論文タイトル、雑誌名、巻、号、ページ、発行年
Webページの場合:著者、ページタイトル、<URL>、発行年、[訪問日]
Webページは、知らないうちに内容が改訂されてしまう可能性があるため、引用する場合は訪問日を必ず記載する。
記載する情報の並べ順は分野によって異なる(例えば、発行年を著者の次に書く場合もある)。卒業論文を書く場合は、担当の教員に指導を仰ぐこと。
主にWebページを参考にする場合には、記載された内容が信頼できるものであるかどうか、自分自身で判断しなければならない。
例えば、次のような統計資料を探すことを考えてみよう。
これらについて検索すれば、いずれも様々なページがヒットする。ではヒットしたページはどれを見てもよいのだろうか? 例えば交通事故の発生件数を調べる場合、以下のどのページが信頼でき、どのページが信頼できないと言えるだろうか。
この場合、1はオリジナルのデータが掲載されており一次資料と呼ぶ。一方、2は一次資料を読んで書かれた文書であり二次資料という。3は二次資料を読んで書かれた文書であり三次資料という。
二次資料は一次資料をベースに作られるが、一次資料のデータの写し間違いがあるかもしれないし、都合のよい部分だけを取り出しているかもしれない。このため一次資料と比べて信頼性が低下する。また、三次資料は資料としての危険性を持つ二次資料をベースに作成されており、信頼性はさらに低下する。資料として引用出来るのは原則として一次資料のみである。二次資料を引用することが認められるのは、一次資料の入手が困難な場合に限る。三次資料が引用文献として認められることは実質的にほとんどない。
では、インターネットを可能にするTCP/IPやADSLなどの諸技術について調べる場合など、一次資料や二次資料の特定が困難な情報を検索する場合、どのようなページが信頼できるページということになるだろうか。
この場合は、URLを参考にする。個人が作成した無料のWebページよりも、企業が作成したWebページの方や国が作成したWebページの方が信頼できると考えられる。
Webページは誰でも簡単に作成できる。それゆえ内容が正しくない場合もある。どのページを参考にするかは自己責任であり、誤った情報を信じ込むことがないように、複数のページを読んでみることが望ましい。
酒田市の最新の人口と、人口動態(人口が増えているか減っているか)について検索をして調べた上で、あなたの意見を述べなさい(調べればすぐにわかるが、人口は減少しているので、具体的なデータを示した上で、人口を増やすためにどのような策が考えられるか自分なりの意見を述べる)。これらをStarsuite Writerでまとめ、PDF形式にエクスポートして添付ファイルで提出しなさい。引用文献を必ず記すこと。