Workstation のしくみと使い方

Workstation のしくみと使い方について説明する。

Workstation

大きな組織では、多くの人が一度に使用でき、 保守管理に手間のかからない UNIX を OS とする Workstation を使用する。

UNIX には対応する無償のソフトウェアが多く、Windows で使われる有償なソフトウェアで作成されたファイルとの互換性もある。 実際 Windows マシンを個人に与えて使用させる場合と比べ、 保守管理、ソフトウェアのバージョンアップなどにかかる費用が安くあがる。

学内の環境について

情報教室の大型計算機は 2 台あり、 pan (101/102 教室から login している計算機) と roy (204/205 教室から login している計算機) である。

計算機にはたくさんの端末が繋がっている。個人個人が login し、使用する。 logout することで、その時間内は自分の $HOME を使っている。 1F では各部屋約 25 台、2F では約 70 台の端末が接続されている。

pan と roy は、 $HOME の中を共有している。 $HOME は Kterm の右端に [˜] で 表される場所のことである。

入り方、終わり方、安全のために

大型計算機には、たくさんの端末が接続されている。端末に入ることを login といい、端末から出ることを logout という。login には user ID と password を入力する必要がある。

Login の方法

学籍番号の下 1 桁を取ったものが、user ID である。 login は、user ID と password を端末から入力することである。

終わり方

作業が終ったら、 Ctrl-3 を押し、 Console Window を出す。 Console Window は、プログラムの動作を確かめる役割とともに、 端末の開始と終了を担う。logout の方法は以下の通り。

%exit

logout し忘れると、自分の $HOME他人に見られてしまうので、 必ず logout すること。

安全に使おう

Password を設定する。 英数を含めた 10 文字以上(14 文字まで)、大文字小文字を混ぜる。 他人に推測されにくくしかも自分では紙に書かずに覚えておけるもの。

Security (保守) が甘いと自分の情報が洩れ るばかりではない。 他の利用者の 情報が盗まれ たり、 計算機自体を破壊され たりする。

Password を次週までに考えて来ること。次週は自作のものに変更する。

変更したあとは、2 階の情報教室 (roy) も 同じ password になる。

UNIX に仕事をさせるには

UNIX では、日本語対応のターミナルエミュレータ Kterm で計算機に命令する。 Kterm は Ctrl-2 で常に呼び出すことができる。

%コマンドEnter

実行するコマンドがすぐに終了するときは、コマンドのみでよい。(下で詳しく説明)

ソフトウェアとプロンプト

お絵書きソフト、 オフィスパッケージやブラウザなどのソフトウェアを動かしたいときは、

%ソフトウェア名 &Enter

& をつけてソフトウェア実行コマンドを入力する。

& なしでも動くが、Kterm での作業はできない。すなわち、 % が出てこなくなり、 コマンドを入力できなく なる。

& をつけると % が Kterm に現れコマンドが入力できる。 このことを 「プロンプトに戻る」 という。

プロンプトはプログラム実行時に使用するので、 講義の間まごつかないように、 ソフトウェアを実行するには、 &コマンドの背後に必ずつける ことが必要である。

emacs &」や 「firefox &」 は覚えておこう。

ブラウザについて

ブラウザとして MozillaFirefox を使用する(通称 Firefox)。 Firefox を立ち上げて、学生専用ページを Web ページに設定しよう。

%firefox &Enter

一度呼び出したあと、他の作業で背後に隠れた場合には、 Ctrl-4 と押して呼び戻す。

ブラウザで Address bar に入力するには

  1. Ctrl-l と入力する。
  2. Address bar にカーソルが飛ぶ。
  3. Address bar に roy と入力しリターン。
  4. 学生専用ページに飛ぶ。

ブックマークやホーム設定 の操作方法は Windows でも同じである。自宅の計算機で試しておこう。

ソフトウェアの操作は、キーバインドを覚えると楽になる。 キーバインドとは、マウスを使わずに操作する方法である。

ブラウザの終了

Ctrl-w を押すと終了できる。

Ruby 専用 directory の作成

まず、「新規フォルダを作成する」に相当するコマンドを $HOME で実行する。

%cdEnter

を実行し、プロンプトの右端を確認せよ。 $HOME に戻っている ( [˜] が右端に出現する ) ことが分かるか。

%
[˜]

確認できたら directory を作る。

%mkdir RubyEnter

とする。Ruby という directory ができたかどうか確認するには、 ls コマンドを使用する。

%lsEnter 
Desktop/Ruby/public_html/Mail/Windows/maildir/script/

Ruby という directory が確認できるだろうか。

この作業は「フォルダの新規作成」に該当するため、 今回 1 度 行う だけ でよい。

プログラムの動かし方

プログラムはエディタ Emacs で書き、 Kterm で実行して正しく動くかどうか確かめる。

Ruby 言語で書くプログラムの拡張子は .rb である。

%./プログラム名.rbEnter[˜/Ruby]

として正しいかどうか確かめる。 プログラムがなぜ動くのかは次週学ぶ。

プログラムを書くには

Emacs を呼び戻すには、Ctrl-1 を押す。

Emacs 上でファイルを開くには Ctrl-x Ctrl-f をする。 Emacs ではキーバインド操作に応じて一番下の行にメッセージが出る。

Find File: ˜/

必要な directory とファイル名を入力して、作成する。

Ctrl-x Ctrl-s で保存。 一行終わったら保存 する癖をつけよう。

はじめてのプログラミングを 体験 してみよう。

データはどこにしまわれるの

My Document と $HOME の違いについてまとめる。 Windows では My Document に、 UNIX では $HOME にデータが格納される。

roy の Windows directory

roy の Z ドライブは、˜/Windows という directory である。

Kterm で、 ls ˜/Windows

した結果を調べてみよう。

ファイルの中身をもっと詳しく調べたい

ls コマンドを使いこなすためには、 くわしく調べることができる オプションの例 を参考にするとよい。

less コマンドと cat コマンドについては、 Kterm の出力方法の違いを見る ことでさらにくわしく。

Windows マシンではアイコンをクリックしたりダブルクリックしたりしていたが、 その動作は Kterm に文字を入力することで対応する。 Kterm で文字を打って動作を行うことを「コマンド入力」という。

Windows での「フォルダ」は UNIX では directory という。 ログインして入る directory は $HOME directory と呼ぶ。 ここに全てのデータをしまうので、Windows での My Document に該当する。

ソフトウェアは、ソフトウェアの起動をコマンド入力することによって行うが、 データを格納する必要のあるソフトウェアを起動するまえに、 どこの directory で立ち上げたか覚えておくとよい。

操作方法の違い をまとめた。

Windows OS との操作方法の違い

操作方法の一覧をまとめる。

コマンド名 操作内容 Windows マシンとの対応
ls Current(目下の) directory にどんなファイルがあるか知る フォルダアイコンを開く
ls [file 名] Current directory に [file 名] というファイルがあるか知る フォルダアイコンを開く
pwd Current directory の絶対位置を(どこにいるか)知る Explorer にあるフォルダ位置を知るバーを見る
Console で exit 作業を全て終って logout する スタートボタンから起動して終了を選ぶ
cd $HOME directory ([˜]) に戻る マイドキュメントを開く
cd [directory 名] [directory 名] の directory の中に入る フォルダアイコンを開く
mkdir [directory 名] 新しい directory を作る 右クリックして新規フォルダの作成を選択する
rmdir [directory 名] directory を消す ゴミ箱に移してゴミ箱を空にする
rm [file 名] file を消す ゴミ箱に移してゴミ箱を空にする
cp [file 名] [directory 名] directory に file をコピーする ファイルを複製する
mv [file 名] [directory 名] directory に file を移動する ファイルを移動する
less ([path 名]/)[file 名] path を通った directory の中の file の内容を調べる。 q を押すと終了。 対応なし
cat ([path 名]/)[file 名] path を通った directory の中の file の内容を表示する メモパッドで開かれる場合

講義では使用しないが、 ファイルマネージャ Konquerorがインストールされている。 Windows 操作に慣れている学生は時間外にでも使ってみよう。

コマンドでくわしい情報を得るには

- (マイナス符合) をつけた英数字をコマンドの次につけることがある。 オプションと呼ぶ。

%コマンド名 (-オプション) (file 名またはdirectory 名)

と実行する。Kterm で

%lsEnter

%ls -lEnter

した結果をくらべてみよう。 情報が ずらりと増える のが分かるだろうか。

%ls
Mail/Windows/maildir/public_html/script/

今後必要な情報は、先頭 (permission) と末尾 (file 名) だけである。

path について

$HOME という directory が個人個人の directory である。 そこに各自が directory を掘ることによって、 directory のツリー構造が でき上がる。 しまっておいたファイルを取り出すときにはどの directory にあるのか、 示さないといけない。その道筋を path と呼ぶ。

ファイルの中身を見るコマンド

ファイルの中身を確認するには、ファイルが大きくなければ cat コマンドを使い、 大きい場合は less コマンドを用いる。

1 年次に作成したホームページは directory 「˜/public_html」 の下に入っている。 過去に出したトップページを見てみよう。 作成し、roy にアクセスして見ることのできるホームページは全て ˜/public_html の下にある、 *.html というファイルである。

$HOME directory 上で、 以下のコマンドを実行してみよう。

%cat ~/public_html/index.htmlEnter

作成したトップページのソースを見ることができる。 ソースが長すぎて画面から流れていってしまった場合には、 以下のコマンドを実行してみよう。

%less ~/public_html/index.htmlEnter

終了は q である。 Space を押して進む。

電子メールと日本語入力

電子メールを送受信するの使用するソフトウェアは、Mew であり、 本学の情報リテラシーで操作方法を学んだ。

日本語の入力は Kinput2 で、日本語の漢字変換には Canna を使用している。

電子メールを読むには

エディタが違うだけで、1 年次と同じものを使用している。 起動は Emacs で行う。

M-x mew

で起動。w で書き、 Ctrl-c Ctrl-c で送信。日本語入力は Ctrl-o ではじめて、 Ctrl-o で止める。 Ctrl-p または Ctrl-n でカナ変換ができる。

日本語入力と漢字変換の方法

Canna には、学生全体に共通な辞書機能を持たせてある。 先輩に育ててもらったため特殊な漢字や誤変換などが多い。 特別な読みを行う場合の登録は、今後学ぶとして、 今回は分節について学ぶ。

Ctrl-i分節の長さを短くする
Ctrl-o分節の長さを長くする
Ctrl-n Ctrl-nカタカナに変換
ミニバッファから候補を選ぶミニバッファの数字を選ぶ
Ctrl-f文節を進める
Ctrl-b文節を戻す

ファイルマネージャの使い方

Kterm 上のコマンドで操作する他に、ファイルマネージャを起動する方法もある。 Konqueror がインストールされている。

%konqueror &  

ファイルマネージャ

Windows のファイル起動マネージャに慣れている学生は、 使ってみるのもよい。

あいさつを表示してみよう

プログラミングを少しだけかじっておこう。

Emacs で、˜/Ruby の下に print_hello.rb を開く。 次のように書いてみよう。

#!/usr/koeki/bin/ruby
# coding: euc-jp

print("こんにちは\n") 	

Kterm で作ったプログラム print_hello.rb を実行してみよう。まずは Ruby の directory に移動。

%cd Ruby

ファイルがあるか確認しよう。

%ls
print_hello.rb

ファイルの存在を確認できたら、 プログラムを実行できるようにする。

%chmod +x print_hello.rb

実行できるときは asterisk (小さな星マーク「*」) がファイル名の終わりに現れる。

%ls
print_hello*

astersik がついていたら、プログラムを実行してみよう。

%./print_hello
こんにちは

print" で囲まれた文章が出力されているだろうか。 くわしくは次週解説する。

エミュレータで計算してみよう

bc -l を使うと、計算ができる。

%bc -lEnter
1 + 2Enter
3Enter
quitEnter

確かめ算をするときに使用する。

いつも使うサイトをブラウザに登録するには

Ctrl-d をすると、Bookmark Window が出現する。 出現しないときは Toolbar から Bookmarks -- Bookmark This Theme を選ぶ。 Create In のドロップダウンメニューで Bookmarks Toolbar folder に入れる。

ブラウザのホーム設定

ホームのアイコンをクリックすると学生専用ページが開かれるよう設定するためには Toolbar の Edit -- Preference から、Use Current Theme を選べばよい。

大学の Web ページ http://www.koeki-u.ac.jp/ を Bookmark に加えてみよう。

キーバインドの操作方法に関して

テキストに

Ctrl-キー

とあるときは、Ctrl を押し ながら キーを押す。

Ctrlキー

とあるときは、Ctrl を押した 後、新たに キーを押す。

テキストに

M-キー

とあるときは、左上の Escape キーを押しながら、キーを押す という意味である。

大きな右側のキーは、Enter と書いてあるが、 プログラムを作るときには Return キーと呼ばれることが多い。 キーボード入力で コンピュータに入力終了を教えるときに使う。 初めのうちは、慣れないようなので、 Enter の印をつけておくことにする。

Ctrl-2 を実行するのと、 まずEmacs を呼び出しておいて Ctrl2 とすると、 結果はどのように異なるだろうか。 何か変化したら、Emacs を呼び出して Ctrl1 を実行しよう。

Ruby 言語は世界に開かれた窓

日本発のコンピュータ言語で、2011 年度には日本で初めて 国際標準の言語規格 となった。大人数が協力して作り上げるものに向く言語として認められた。 国内では、 データベース管理を組み合せたホームページ作成の基礎に使われる言語として、 認知されている。日本では、 商品と金銭をやりとりするような企業 や、 官公庁の Web サイト がある。