基本ソフトウェアと電子文書の関係

ここ 10 年で、PC の販売は増加し、 出荷台数が頭打ちになった。多くの PC には、 Microsoft 社製の基本ソフトウェア、通称 OS (Operation Software) として、 Windows がインストールされている。通常の状態では、 PC を購入すると Windows がインストールされており、 Windows には、Microsoft 社のワードプロセッサ Word や、表計算ソフト Excel などが梱包されている。

情報通信の手段に関しては、「コンピュータネットワーク」 で学ぶことができる。

Windows 7 という新たな OS の発売が Microsoft 社から発表された。 Windows のバージョンが新しくなるということは、 基本ソフトウェア 「Windows 7」 を購入しなければならないということである。 基本ソフトウェアが要請する機械の能力 (スペック) は、 当然現在持っている数年前に購入したものより上であるから、 新しい計算機を購入する必要がある。

経済的に購入できたとしても、Microsoft 社製品 の OS の場合、 アプリケーションソフトも梱包されているため、 古いソフトウェアで書いたデータがうまく動かない可能性がある。 また、古いバージョンのものは、新しいデータ形式になっている可能性があり、 更新すると、古いアプリケーションソフトではもはや見ることができなくなる。

結局、しばらく、新しいソフトウェアに乗換えるのに時間がかかる。 何らかの理由で乗りおくれた人々は、 セキュリティ保証の期限が切れた計算機を使うことになる。

実際、Windows 98 / Windows 98 SE / Windows Me は、 サポートの打ち切りが 2006 年 3 月 26 日に発表され、 2006 年 07 月 11 日にサポートが打ち切られた。

このような OS の上で作成される電子文書は、はたして永年、 誰にでも読める文書となりうるだろうか?

結論:電子文書は、基本ソフトウェアに関係なく常に閲覧、 加筆修正することができるものでなければならない。 また作成するソフトウェアのバージョンアップに関係なく閲覧、 加筆修正されるべきである。さらに、電子文書を閲覧するためのソフトウェアは、 無償であるべきである。とくに、公的機関においては、 電子文書形式の書類を配布する際、 有償かつ企業固有のソフトウェアを使用すべきではない。

PDF ファイルとは

PDF (Portable Document Format) ファイルは Adobe System 社が提供する電子文書形式である。 基本ソフトウェアによらず、 オリジナル文書を再現することが可能であり、 読むソフトウェアは 無償 で配布されている。

Adobe System 社と PDF に関して

最初の電子計算機

コンピュータは 2 進数による代数 (ブール代数, Boolean) 演算を行う機械のことである。 基礎となったものは Turing 計算機というもので、 Turing により 1936 年に開発された。 電子回路に演算とデータを組み込むことにより、 1970 年代には急速に小型化、高速化した。 これらはノイマン型計算機と呼ばれる。 演算やデータがメモリに呼び出され、実行される。

現在の規範となる電子計算機

大きな企業や研究機関によって使用されていたが、 1986 年に IBM により個人用計算機 (PC/AT, Personal Computer/Advanced Technology) が開発され、 普及した。IBM が計算機の内部を公開する方針を取ったため、 各社が内部仕様を共通化することができたためである。 現在市販されている個人向け計算機, PC (Personal Computer), はほとんど PC/AT 互換機である。

電子回路に演算の仕組みを組み込みデータを取り入れる方法は機械によって異なるが、 それらを統合して計算機として使えるようにするプログラムを、 基本ソフトウェア、OS (Operating System) と呼ぶ。

Microsoft 社と Macintosh 社の台頭

PC/AT では、Microsoft 社製の MS-DOS (Microsoft Disk Operating System) という OS が採用された。これは、文字をキーボード入力し、結果を得るものである。 MS-DOS は、シングルタスク OS であり、 1 つのソフトウェアしか動かすことができなかった。

その後、キーボードにより命令を入力する CUI(Character User Interface) ではなく、 マウスとアイコンを使用した GUI (Graphical User Interface) にこだわった OS も出現した。しかし高価であり、一般には普及しなかった。 Macintosh 社の制作した Apple Computer である。 Microsoft 社は、その後、Windows という OS を開発した際に GUI 仕様にこだわった。それは、Apple Comupter の成功があったためであるとされる。

このようにして、 比較的安い PC/AT 互換機で MS-DOS か、 それともかなり高価な計算機を丸ごと購入し、 マウスとアイコンを使う Apple Computer か、 という選択が現れた。

ハードウェアによらない OS (UNIX) の開発

一方、AT&T 社が主体となり、 C 言語で作られるハードウェアに寄らない OS の開発も進められた。 これが UNIX と呼ばれるものである。ソースコードが簡易であったため、 多くの計算機に移植された。

さまざまな計算機に移植できるようなソフトウェアをマルチプラットフォームと呼ぶ。

UNIX は商用 UNIX および Linux などがもとにする System-V 系 UNIX、 大学関係者などのボランティアにより開発される BSD 系 UNIX とに大別される。 System-V 系は、フィンランド人の大学院生 Linus Trovalds (当時) が GPL (GNU General Public License) というライセンス体系に基づき、独自にコードを開発した。 GPL に基いた開発は、UNIX において基本ソフトウェアだけでなく、 アプリケーションソフトウェアにも浸透している。 一方 BSD (Berklay Software Distribution)系 OS は、 BSD ライセンスに基づきコードが開発された。

UNIX は、マルチタスク仕様であり、 複数のソフトウェアを同時に動かすことができる。

現在のほとんどの計算機はマルチタスク、GUI の OS を塔載している。 ライセンスに対する企業の姿勢が、そのまま開発される OS に直結している。

ライセンス

ライセンスとは、 制作者がユーザに課すソフトウェアに関する権利を示したものである。 ライセンスに従わない使用方法は違法行為である。

Windows のアプリケーションソフトウェアは、 基本ソフトウェアに抱き合わせて販売されているので分りにくいが、 有償である。改変再配布は許されていない。ライセンスは、 箱を開封したときに使用条件を認めたことと同一視される。

UNIX などのボランティア開発によるプログラムは、 オープンソースと呼ばれるものが多い。 オープンソースのライセンスには、 BSD ライセンスと GPL ライセンスとがある。

オープンソース

UNIX は一部の商用ソフトを除き、基本ソフトが無償である。 従って無償であるアプリケーションソフトウェアも多い。 アプリケーションとは、実際の計算を実行するために、 利用者に使い易く見た目を分りやすく仕上げたプログラムのことである。

無償のアプリケーションソフトは、フリーソフトウェアと呼ばれる。 通常のアプリケーションソフトは、 ソフトウェアの利用が有償であり、開発コード (プログラムソース) は非公開である。しかし UNIX ではフリーソフトウェアが多い。

フリーソフトウェアには、無償で使用できるという意味の他、 さらにソースが公開されており、 改変再配布も自由である場合も含まれることがある。 この場合をとくにオープンソースソフトウェアと呼ぶ。

フリーソフトウェアにもソフトウェア同様ライセンスがあり、 作者が自由に考えた、使用条件が記されている。

オープンソースソフトウェアのライセンス規定

有償、 改変を認めないアプリケーションソフトウェアとは異なるライセンス規定がある。 無償でフリーウェアソフトを普及させようと取り組む団体 GNU (GNU is Not UNIX) の開発したソフトウェアに適用する GPL (GNU Public License) と、 BSD ライセンスの 2 つがある。前者はソースコードの改変は自由であるが、 再配布時にもソースコードは必ず公開しなければならない。 後者は「無保証」 であることの明記と著作権表示だけを再配布の条件とするライセンス規定である。

ソフトウェアライセンス名称 ライセンス形態
有償シェアウェア 使用のみ許可、改変は許されない
無償 フリーアプリケーション
オープンソース 多くがライセンス形式に従って
ソースを公開している。
BSD
ライセンス
著作権表示の義務がありソースの改変は自由
GPL
ライセンス
改変したソースも再配布時に公開する義務がある

オープンソースソフトウェアの Windows への移植

UNIX 用に開発されたソフトウェアはほとんどが Windows に移植されている。GIMP, Tgif などの画像を扱うソフトもあるが、 Emacs などの GNU ソフトも、Cygnus Solution (現 Red Hat) 社が開発した、 Cygwin (GNU Cygnus Windows, きぐうぃん) という GNU 用の開発ソフトを用いて使用することができる。

ギリシャ文字

物理学や数学に使われるギリシャ文字は、大文字、小文字を含めて、 読み書きができるようになっておこう。

読み方を調べ、大文字小文字を書いて練習しよう。

数値計算の結果を制御しよう

数値計算をした場合は、library を読みこませる。 library は require 'library 名' を冒頭に付け加えて、 利用可能とする。 数値なので、数値計算用の変数として使われることをはじめに宣言する。

#!/usr/koeki/bin/ruby
#coding: euc-jp

require 'bigdecimal'

c = BigDecimal("3.456")

p c.round(2) 	 # 四捨五入
p c.ceil(2)  	 # 切り上げ
p c.floor(2) 	 # 切り捨て

得られた結果は少し変わった出力方法となっている。

#<BigDecimal:データをしまった場所,'数値結果',8(16)>

となる。E1 は 10 ** (-1) に等しい。一般に数値に読みかえるには、

En = 10 ** (-n)

となる。

このプログラムの結果をそれぞれ調べ、 なぜそうなるのか答えよ。また自分で数値を変更したパターンをいくつか作り、 それについても調べよ。

三角関数

正弦、余弦、接弦について、それぞれの名称と、 直角三角形を書いて、どこに該当するのか調べよう。

数学の関数を使いたい場合は、 module を用いる。module は include "module 名" を冒頭に付け加えて、 利用可能とする。

#!/usr/koeki/bin/ruby
#coding: euc-jp

include Math

STDERR.print("数値を代入してください\n")
x = gets.to_f
printf("その数値の根をとると %f \n",sqrt(x))
printf("その数値の自然対数をとると %f \n",log(x))
printf("その数値の常用対数をとると %f \n",log10(x))
printf("その数値の指数をとると %f \n",exp(x))

STDERR.print("数値を代入してください。ラジアンとして計算します。\n")
rad = gets.to_f
printf("その数値の余弦 (cosine) をとると %f \n",cos(x))
printf("その数値の正弦 (sine) をとると %f \n",sin(x))
printf("その数値の正接 (tangent) をとると %f \n",tan(x))

有効数字を考えて表示するのには、 基礎プログラミング I 第 2 講を復習するとよい。

p は、変数の中身を改行をつけて表示する機能である。

p しりたい変数

と使う。講義では p を使って変数の中身を調べることがある。 プログラマ用の実行文 である。

大文字で指定したものの意味

定数は大文字 で表す。あらかじめ决まっているものには 円周率 PI, 自然対数の底 E などがある。

Ruby 言語の定数とその値についていくつか調べてみよう。

点字のしくみ

点字は、6 つの凸の点でできている。点字用具を使用して印刷を行う。 晴眼者はこの点を黒く印刷したもので点字を学ぶ。これを墨点字という。 左上から下へまた右から下へ、 1, 2, 3, 4, 5, 6 とついている。 1, 2, 4 で母音、3, 5, 6 で子音を表している。 清音はこれで全て表すが、濁点や拗音、外字は、前に一文字つけて表す。

点字図解

かなではあるが、ローマ字で分解するとわかりやすい。

A, I, U, E, O に関しては 1, 2, 4 の組み合せ、子音は Y, W を除いて 3, 5, 6 で決まる。

濁音、半濁音、拗音の場合、清音の前に記号をつけて表す。

拗半濁音は 4, 6, 拗濁音 5, 6

文章は、読む音で構成される。 "おかーさん きょうわ 濁点かっこうは おやすみ 濁点てす" など。

フォント作成は fontforge を使う。 日本語点字用のフォントは、公開されていないので、 作成してみよう。

筆記体とイタリック

英語フォントには筆記体とブロック体がある。日本語には同様に、 明朝体とゴシック体がある。

数学の変数は通常筆記体で書く。書籍等ではイタリックで表される。 Web では samp tag で括って表す。

筆記体

OpenOffice.org を使って、筆記体のワークブックを 作ってみよう。フォント名は Learning Curve で、点線と実線を選ぶことができ る。

フォントをダウンロード。どこかで unzip して展開。

% cd
% mkdir .fonts
% cd ~/.fonts
% cp どこか/*.ttf .
% fc-cache

としてから ooo3 を起動。

点字フォント

墨点字フォントとして知られているものには TrueType フォントで社会福祉法人ライトハウスが公開している 墨点字フォントがある。 日本点字委員会 では、点字のルール を詳しく紹介しているが、フォントは濁点を表すために . や拗音を表すために \ (円記号) を用いている。

墨点字フォントをインストールして使ってみよう。