確率とは

ある事象 A について、どれが起こることも同様に確からしいとする。 起こりうるすべての場合がn 通り、事象 A が起こる場合が a 通りあるとすると、

A の起こる確率 = a / n

である。

確率を求めるには

  1. 起こりうるすべての場合の数を求める
  2. ある事象 A が起こる場合の数を求める
  3. すべての場合の数と A が起こる場合の数で割り算し、分数を求める。 (< 1)。

1 個のサイコロを振るとき、偶数の目が出る確率を求めよ。

起こりうる全ての数は 6 通り。 偶数の目が出る場合は 3 通り。 したがって偶数の目が出る確率は

3/6 = 1/2

50 円、100 円、500 円の 3 枚のコインを 1 回投げるとき、 1 枚は表、2 枚は裏となる確率を求めよ。

起こりうる全ての場合を樹形図にすると、8 通りとわかる。

このうち表 1 枚、裏 2 枚となっているのは 3 通り。

よって求める確率は 3/8

確率の定義

ある事象 x が必ず起きることが分かっているとき、 起こりやすさに応じて 0 から 1 の間の数値をとるものを、 確率 P(x) という。 独立した試行において起こりうる事象の場合の数 n のうち、 事象 A の起こる場合の数を a とすると、事象 A の起こる確率は P(x) = a/n となる。

確率変数
ある事象が起こる可能性について示す変数。離散型と連続型がある。 1 回のコイントスを考えると、表と裏の 2 つで離散型。 電子がある箱の中に存在する場所をあらわす確率変数は、連続型。
標本空間
標本空間とは起こりうる事象全てを含んだ空間のことである。 コイントスをしたなら、事象 y の集合 B は B = {"しなかった", "表が出た", "裏が出た"} の 3 つである。
確率測度
確率変数に応じて、0 から 1 の間の数値を対応させる関数である。 コイントス 1 回で表の出る確率は P(表) と表す。 事象が同じ確率分布をもつ場合、一様分布という。

確率の意味

ある事象 A の確率 P(x) とは、全部の数 N で、あたりの数 a を割ったもの

P(x) = a / N

和の法則

「または」「あるいは」という言葉に置き換えられるものは、足す。

サイコロを振って、1 の目が出る確率は 1/6。 「サイコロを振って 1 と 2 の目が出る確率」を言いかえると、 「1 または 2 の目が出る確率」だから、 足して 1/6 + 1/6 = 2/6 = 1/3

独立事象

サイコロの目、コイントス、など、 直前に実行した事象とは無関係に発生するものを、 独立事象と呼ぶ。

一般的には、事象が 1 つしかないことはないので、 A と B が起こる確率は、

P(A) + P(B) =P(A ∪ B) + P(A ∩ B)

で表される。A が起きて、B が起きていることは、 A または B が起きることと、A と B が同時に起きていることを含む。 これを変形して、A または B が起きる確率は、

P(A ∪ B) = P(A) + P(B) - P(A ∩ B)

と表せる。

独立であるということは

A という事象に引き続いて B という事象が起きた。 これらが独立な場合は、

P(A ∩ B) = P(A) × P(B)

が成り立つ。すなわち、コインを 2 回投げても、2 回目も同じ面が出るかどうかは、 1 回目の事象と関係がない。n 回連続でずっと表が出る確率は、 (1/2)n = 1/2 n となる。

排反事象

A と B がともに起こらないときには、A, B は排反事象であるという。 同時に起こらないので、P(A∩B) はありえない。

サイコロの目は同時に出ない

1 つのさいころの目は 1 と 2 が同時に出ることはありえない。 これは排反事象である。このような場合、P(A ∩ B) = 0 だから、

P(A∪B) = P(A) + P(B)

余事象

コインの表と裏、あるいはある事象とそれ以外(無風と 無風を除いた全ての状態) の場合、 事象 A に対して事象 A の余事象といい、A と書く。 全ての確率を足し合わせると 1 になるから、

P(A) + P(A) = 1

よって余事象は

P(A) = 1 - P(A)

文章としては「少なくとも」が出てきたら、確実に起きないことを引いて、 「少なくとも」を求める。

条件つき確率と独立性

前に起こった事象 A も考慮して、 その次に起こった事象 B について調べることをを条件つき確率という。 考慮していることを表すため、

P(A ∩ B) = P(A) × P(B|A) = PA(B)

などと記す。どちらが先に起こっても確率は等しいので、

P(A) × P(B|A) = P(B) × P(A|B)

PB(A) = PA(B)

積の法則

「かつ」「...して、さらに ...」という言葉に置き換えられるものは、かける。

従属事象

直前に実行した事象と関係するものを、従属事象と呼ぶ。

前の人が抜けたら

4 人でくじびきをする。当たりが 2 本あり、 ひーちゃんが当たりくじを引いた。当たりくじを回収せず、今度は 3 人で引いて、 こんどはふーちゃんが引きあてる場合。

空の箱 4 つに 全員が入る入り方は 4! 通り。 また、 当たりくじの箱に入る入り方は、 2 人なので、2! 通り。よって全部で 4!/2! 、すなわち 4C(4-2) = 通りがありうる総数。 ひーちゃんのつぎにふーちゃんが引くのは 1 通りしかないから、 1 / 4C(4-2) = 2 × 1 / (4 × 3) = 1 / 6 通り。

あるいは、最初にひーちゃんが引き当てる確率は 2/4 で、 当たりくじの数(すなわち全部のくじも 1 つ)抜けたあとにふーちゃんが引く確率は 1/3 だから、 2/4 × 1/3 = 1/6 でもよい。

この場合、ふーちゃんが引き当てる確率は、 ひーちゃんが必ず当たりを引くことを前提にしているから、従属である。