単位行列 (identity matrix) を定義しよう。 単位行列とは、任意の正方行列 (n × n 行列)に対して、
AI = IA = A
が成り立ち、 対角成分 aii が 1 となり、他の成分が 0 であるような行列で書くことができる。
1...0 I = (: :) = (&deltaij) 0...1
&deltaij は Kronecker-&delta と呼ばれ、
i, j が等しいときに 1, そうでなければ 0 を返すものである。
逆行列が存在するような行列を
数値計算では単位行列の階数 (n × n のときは階数 n)をつけて、 In と表すことも多い。
また、|A-1| = 1/|A| が成り立つ。
A, B, C, D はそれぞれ n × n, n × m, m × n, m × m 行列とする。 このとき、A と D - CA-1B はともに正則行列であるような場合を考える。 このとき、この4つの行列で構成される行列は正則であり、その逆行列は
A B -1 A-1 + A-1B(D-CA-1 B)-1 CA-1 -A-1B(D-CA-1B)-1 ( ) = ( ) C D -(D - CA-1B)-1CA-1 (D-CA-1B)-1
と書ける。
2 × 2 行列の場合は、行列式 det|A|= ad-bc で表されるが、 これを使って上の式を証明してみよう。
一般に、行列式の展開は、余因子展開として知られる。 3 次式までなら、Sarrus によるたすきがけで求めることができる。
余因子展開のとき、余因子行列を導入するが、余因子行列と行列式を使って、 逆行列を表すことができる。
4 × 4 行列を考え、 たすきがけと余韻子展開を手計算で計算をしたあと、 知っている言語で行列の逆行列を作ってみよう。 Sarrus の方法は 3 × 3 行列までは正しい結果を得ることが分かる。