酒田市郊外にはヘイケボタルが存在するので、 白鳥池でもヘイケボタルを育てたい。
ヘイケボタルは、ゲンジボタルより小柄である。 ゲンジボタルより長期に発生するが、ゲンジボタルよりも発光が弱く、 密度はゲンジボタルほど高くならない。
ゲンジボタルは河川で、ヘイケボタルは水田周辺に多く発生する。 ヘイケボタルのエサはタニシやモノアラガイという止水付近に生息する巻き貝である。
モノアラガイは、環境庁レッドリストに載る、準絶滅危惧種である。 殼高 20 mm 程度。 北海道から九州にかけて分布し、やや富栄養化が進んだ止水域に生息する。 近似種としては、サカマキガイ、ヒメモノアラガイなどがあり、 ヘイケボタルの養殖にはこれらを使用することもあるようである。
ヒメモノアラガイは、モノアラガイよりも汚染などに強い。 殼高 12 mm 程度。
カワニナはゲンジボタルのエサである。環境としては清冽な水質であるが、 エサは有機物である。カワニナは桂藻類をエサとする。
かつては灌漑用水路に、メダカ、ドジョウ、カワエビなどが生息した。 この排泄物を溶解栄養分として、桂藻類は育った。 従って、この環境を取りもどすことができればよい。
桂藻類をカワニナやモノアラガイが食べ、 それをヘイケボタルの幼虫が食べる。
田植の頃を少し過ぎるとサナギになり、中干しの頃に成虫になる。 産卵は出穂の頃まで続く。幼虫は出穂を過ぎてから。
産卵は水辺の草の根元や水苔。孵化し、1.8 mm 程度の体長になる頃、 水中に入り、モノアラガイなどを食べ、越冬する。幼虫も発光する。 4 回の脱皮を経て、体長 9 mm ほどになると、分泌液と土でまゆを作り、 土中 数 cm のところでサナギになる。羽化のあとは、日没後 1 -- 2 時間頃、 もっともよく活動する。無風で蒸し暑い夜がよい。
モノアラガイはカワニナを食べることがあるようである。 カワニナ、モノアラガイはメダカなどと一緒に育てると、 水槽の中で有機物や藻を食べ、よく増える。 簡単に養殖ができるようである。7 度の低温でも育つ。 16 日程度で孵化する。
天然では、産卵が 6 月頃から始まる。
水温は春期がもっとも高く、25 度C まで上昇する。冬季は 7 度C、 年平均 15 度C。pH は夏季に最も高く、7.8 となるが、年平均は 7.3 である。 白鳥池の水は地下水を水源とするためであると考えられる。 汚濁物質は他の水源より多い。とくに春季と夏季。 白鳥池には浄化槽がない。汚濁物質は水中プランクトンの増加と関係がある。 水中プランクトンは、池にいるコイや冬季の渡り鳥などの環境と多いに関係がある。
白鳥池は、夏は富栄養化が進みすぎている可能性がある。 藻類の観察および巻き貝類の観察を行う必要があると考える。 浄化槽があると汚濁物質は減るようであるが、 巻き貝類の環境を考えると、浄化槽の設置ではない方法があるかもしれない。 また、白鳥池(やその周辺の水田)まで海水が逆流しないのかどうか、 あるいは周辺の水田の農薬にも巻き貝が強いのかについても分らない。 5 月末から 6 月までの間に、水中生物の確認を史、 卵を放流し実験する必要があると考える。