通信回線とプロトコル

本日の出席

回線

WAN:広域通信網、電気通信事業法に基いた構築・運用管理が行われる
電気通信事業者 WAN の事業者
ISP WAN の通信事業を行うインターネット関連サービス提供事業者 (商業プロバイダ)
接続形態・接続回線
ダイヤルアップ接続 公衆回線を利用した必要なときだけ回線に接続する, ナローバンド 低コスト伝送速度は遅い
ADSL 接続 音声通話で利用しない周波数帯を利用した高速ディジタル通信, ブロードバンド Type I 電話回線共用型 スプリッタを用いて電話信号と ADSL 信号を分離
Type II ADSL 専用型 新たに回線を新設
専用線接続 専用通信のためだけに回線を設置 ATM, 長距離列車券売機, 航空券座席予約発見システム
ブロードバンドネットワークの種類
ナローバンド接続アナログ56k
ISDN (ディジタル)128k
ブロードバンド接続ADSL Type I40+M
ADSL Type II40+M
CATV数十 M
100M 程度
伝送速度計算:伝送速度=通信規格速度×伝送効率

アナログ回線・デジタル回線

アナログ回線:アナログ信号でデータの送受信を行う
アナログ回線 < 56kbps, 従来の固定電話, ADSL 回線銅線ケーブル
モジュレーション ディジタル信号をアナログ通信のデータに変換すること変調
デモジュレーション アナログ信号をディジタル通信のデータに変換すること復調
モデム 変調と復調を行う機器のこと MOdulator DEModulator, 変復調器
ディジタル回線:ディジタル信号によってデータの送受信を行う

ISDN 回線: 音声通話・ファックス・データ通信・パケット通信を。 銅線ケーブル・光ファイバによって行う

ISDN で使われる装置
DSU Digital Service Unit, 加入者回線終端装置 ディジタル回線の信号形式とコンピュータ内の信号形式の相互変換を行う
TA Terminal Adapter ISDN 用に設計されていない装置をディジタル回線に接続するための装置
回線規格
G3 規格従来のアナログ回線
G4 規格ディジタル回線用のファクシミリなど

チャネル:ISDN 回線での通信単位

ISDN のサービス
インターフェース名 サービス名 B チャネルの数 D チャネルの数 ケーブル想定しているネットワーク
基本インターフェース INS ネット 64 2 本 (64k bit/s) 1 本 (16k bit/s) 銅線家庭用など小規模ネットワーク
1 次群インターフェース INS ネット 1500 23 本 (64k bit/s) 1 本 (64k bit/s) 光ファイバ企業など大規模ネットワーク

ADSL

ADSL 回線:Asymmetric DSL, 非対称ディジタル加入者回線 (Asymmetric Digital Subscriber Line)、 アナログ回線で使用しきれないブロードバンド(ブロード帯域) を利用したディジタル回線のうち、上りと下りの速度が異なるもののこと

ブロードバンド

CATV:ケーブルテレビの空チャネルを利用した接続サービス
FTTH:Fiber To The Home, 光ファイバケーブルを設置した高速ネットワーク

回線交換・蓄積交換

回線のしくみ
交換方式料金体系 通信方式通信回線の状態
回線交換方式距離と接続時間 回線交換機を介して直接繋がった状態で通信 電話回線と同じなので通信回線を占有する
パケット交換方式(蓄積交換方式)通信時間とパケット量 データをパケットに分割して送信し、受信側でパケットをデータに復元する 通信回線を共有する

パケット交換方式の特徴:1 つの回線から同時に複数の宛先にパケットを送ることができ、通信速度の異なるネットワーク間の通信も可能

通信規約

プロトコル:ISO (国際標準化機構) の定める通信する上での規約

OSI 基本参照モデル: ISO の定めたプロトコルで、通信機能を 7 層に分類したもの

動作
アプリケーション層 ファイルの転送・電子メールの機能
プレゼンテーション層 アプリケーション層のデータを共通データ形式に変換して送出 ・取り込みを行う
セション層 同期制御
トランスポート層 データの順序制御・エラー検出・回復
ネットワーク層 ルーティング(経路選択)・中継
データリンク層 通信の確立・解放
物理層 電気信号を透過的に伝送

TCP/IP プロトコル

TCP/IP:Transmission Control Protocol / Internet Protocol, インターネットに採用されている、トランスポート層に対するプロトコル

TCP:相手とのやりとりを監視しながら通信する (コネクション型)プロトコル

IP:相手やネットワーク状況を確認せず通信する (コネクションレス型)プロトコルで、 制御用通信が減る分だけ効率的な通信を可能とする

OSI 基本参照モデルTCP/IP 階層プロトコル 用途使用する目的目的用プロトコル
アプリケーション層 アプリケーション層 SNTP ネットワーク管理 電子メール配送
Web ページ
ファイル転送
ドメイン名解決
SMTP
HTTP
FTP
DNS
プレゼンテーション層
セション層
トランスポート層トランスポート層 UDP User Datagram Protocol, コネクションレス型通信 相手との状態を監視しながらの通信 TCP (コネクション型プロトコル)
ネットワーク層インターネット層 IP Internet Protocol, コネクションレス型通信 相手やネットワーク状況を確認せずに通信する IP
データリンク層 ネットワークインターフェース層 -
物理層
TCP 上のプロトコル階層
電子メール SMTP 電子メールの配送
POP3, IMAP4 メールサーバからメールを取り出したり削除する
Web ページ HTTP Web ページを伝送
ファイル転送 FTP ファイルのアップロード・ダウンロード
ドメイン名解決 DNS ドメイン名と IP アドレスとを相互変換

LAN の方式と構成

LAN の標準規格

LAN: Local Area Network, 構内通信網、社内・学校内・家庭内などで利用する小規模ネットワークのこと
イーサネット:LAN の標準方式
IEEE802.3イーサネット バス型・スター型 10 同軸ケーブル・より対線・光ファイバケーブル
IEEE802.3u 高速イーサネット スター型 100 より対線・光ファイバケーブル
IEEE802.3z 1000
IEEE802.3ab より対線
IEEE802.5 トークンリング リング型 4, 16 同軸ケーブル・光ファイバケーブル
IEEE802.11a 無線 - 54 (ワイヤレス)
IEEE802.11b 11
IEEE802.11g 54
ケーブルの種類
同軸ケーブル 芯線・網線・絶縁材・緩衝材を同心円状に巻いた電線 雑音に強い 100 BASE 5(太), 10 BASE 2(細)
より対線 モジュラケーブルのように、細い電線を 2 本より合せた線を 4 組など複数本まとめて被膜で覆ったケーブル 別名ツイストペア UTP
光ファイバケーブル 高品質な通信が可能 光ファイバケーブル

ケーブル名: 伝送速度(M bit/s) BASE ケーブル長 (1 セグメントの長さ) または種類 (T: UTP または F: 光ファイバ)

セグメント:他の機器を使わずに接続できるケーブル

イーサネットの種類
トポロジ ケーブル 最大通信速度 コネクタ 最大セグメント長
バス型 10 BASE 5 10M bit/s AUI 500m
10 BASE 2 BNC 185m
スター型 10 BASE-T RJ-45 100m
100 BASE-TX 100 M bit/s
1000 BASE-T 1000 M bit/s
LAN のトポロジ

トポロジ:使用するケーブルやコネクタ、接続機器による構成形態のこと

バス型 両端に終端装置(ターミネータ)のある一本の伝送路 1 台のコンピュータが故障しても影響がないイーサネット型トポロジ
スター型 中央にハブをおく放射状の伝送路 1 台のコンピュータが故障しても影響がないが、 ハブが壊れると全て使えなくなるイーサネット型トポロジ
リング型 円環状の伝送路 1 台のコンピュータが故障すると全体に影響が出る、 イーサネット型ではないトポロジ

現在はスター型が多い。

CSMA/CD:Carrier Sense Multiple Access / Collision Detection, イーサネット型 LAN でのアクセス制御の方法で、 ネットワーク上のデータが衝突したときに時間をずらして再送する制御方式であり、 OSI 基本参照モデルの物理層とデータリンク層を対象としている
Carrier Senseキャリア検知 通信開始時にキャリアが伝送されているか調べる
Multiple Access多重アクセス CS, CD を同時に最大 1024 個の端末に行い通知する
Collision Detection衝突検出 CS 後に、ケーブルにキャリアが検知されない場合に送信を開始し、 他の通信データとの衝突が検出された場合はデータの送信を中止する

無線 LAN

無線 LAN の伝送媒体:電波・赤外線・レーザなど
無線 LAN の規格
IEEE802.112 M bit/s2.4 G Hz
IEEE802.11a54 M bit/s5.2 G Hz
IEEE802.11b11 M bit/s2.4 G Hz
IEEE802.11g54 M bit/s2.4 G Hz

周波数 2.4 GHz :産業機器、医療機器、家電製品で使用される周波数帯

アクセスポイント: 有線 LAN やインターネットの ISP との接続機能があり、 無線 LAN の親機として働く

無線 LAN の通信方式
通信方式アクセスポイント使用
インフラストラクチャモード
アドホックモード

ホットスポット:大勢が利用する公共の場所でインターネットが使用できる場所

無線 LAN のセキュリティ:データが傍受されやすい

WEP:Wired Equivaletn Privacy, 無線 LAN のセキュリティ対策の一つで、 アクセスポイントと無線 LAN カードの両方にパケットを暗号化して設定し、 キーが異なるものを除外する

その他、MAC アドレスを用いて接続制限を行う方法も用いられる

接続機器と IP アドレス

接続機器: LAN どうしを接続するのに使われ、 OSI 基本参照モデルのどの層で接続されるかどうかきまる

LAN どうしを接続する機器と OSI 基本参照モデル

接続機器 OSI 基本参照モデルアドレスの規格
ゲートウェイ 応用層-
プレゼンテーション層
セション層
トランスポート層ポート番号
ルータ・レイヤ 3 スイッチ ネットワーク層IP アドレス
ブリッジ・スイッチングハブ・レイヤ 2 スイッチ データリンク層MAC アドレス
リピータ・リピータハブ物理層-

ルータ:IP アドレスにより局所 LAN とそれ以外の LAN のデータを切り分ける

ゲートウェイ: ポート番号によりデータを作り出したアプリケーションプログラムと IP アドレスで送信元のコンピュータを特定し、データを許可する

スイッチングハブ: LAN 上の機器の MAC アドレスを記憶し、 データをその機器が接続されているポートにだけ中継する

リピータハブ: 全てのポートにデータを中継する

MAC アドレス・IP アドレス・ポート番号:TCP/IP による通信時に必要な情報
MAC アドレス ネットワークインターフェースカード固有の番号で、 発売したメーカが与える 6 Byte の固有のアドレス
IP アドレス ネットワークに接続されるコンピュータに振られた番号 XXX.XXX.XXX.XXX で、32 bit からなり、グローバル IP アドレスとプライベート IP アドレスがある
ポート番号 IP アドレスの下位のアドレスで、 プロトコルごとにウェルノーンポートがあり、 通信相手を指定する
ハブの種類
リピータ 伝送信号の再中継を行い、信号を整形して受け取ったデータを全て中継
リピータハブケーブルを繋ぐポート(出入口)が複数あり、 情報をスター型に接続するリピータ
ブリッジイーサネット型の LAN どうしを接続する機器、 MAC アドレスによりデータの宛先を判断する
スイッチングハブ 複数のポートを持ち、ブリッジの機能を持つ装置で、 同時通信の速度は装置の最大通信速度でそれぞれのポート間の通信を行う
LAN 同志の中継を行う接続機器の働き:LAN どうしに距離がある場合、WAN を介し、接続機器は IP アドレスを制御しネットワーク層で接続
経路制御の方法
ルータソフトウェアによる経路制御低速
レイヤ 3 スイッチハードウェアによる経路制御高速
ゲートウェイプロトコルの異なるネットワーク間の中継や、 トランスポート層や応用層でデータの制御を行いながら中継を行う

ポート番号: ネットワーク間の中継で、プロトコルを判断し、通信データが混ざらないようにする

ブロードキャストドメインとコリジョンドメイン
ブロードキャストドメイン ブロードキャストパケットが届く範囲のネットワーク スイッチングハブ・ブリッジで接続する範囲内・ それを超える範囲はルータを使用
コリジョンドメイン パケットの送信中にパケットの衝突を回避するため、 機器どうしが送信中かどうかを確認しながら行う必要のある領域のネットワークのこと スイッチングハブを使用する場合は、 ポート単位がコリジョンドメインで、 ポート間の通信はブロードキャストドメイン

本日のレポート課題 : (Subject: 第 5 回レポート「情報処理基礎論 I」)

宛先は
it-ip1-0515-report@e.koeki-u.ac.jp
である。

初級シスアドの平成 17 年度以降の出題のうち以下から選択せよ。

本日の講義分で解ける問題でもよいし、 自分で勉強した問題でもよい。前回解いたものは除く。 問題は教科書を購入したり、インターネットから検索して探すことができる。

  1. レポートには、年度と季節、何問目かを記入し、選択肢を書く。 解答及び解法も記せ(解法は打ち間違いかどうかのチェックに利用する)。
  2. できるだけ他の学生と違う問題にも挑戦せよ。

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Madoka Nishimura <madoka@e.koeki-u.ac.jp>