会社の業務の電子化に際して必要なソフトウェアは、 文書作成、表計算、プレゼンテーションツール、データベースであると考えられる。 表計算やデータベースで解析した結果をうまく取り込み、 印刷物やプレゼンテーションの用意をすることが、 会議での準備となる。 よって、互いに互換性があると都合がよい。 このような考え方をもとに、一括して企業に提供されるソフトウェアの一式 を "オフィススイート Office Suites" パッケージと呼ぶ。 また、企業内で共同で使えるようにした仕組みをグループウェアと呼ぶが、 この機能をそなえたサービスも開始されている。
Suites 自体の現実の発音と意味は洋服のスーツと同じ、 すなわち一式ということであるが、 日本語ではスイートと呼ぶようである。
計算機で作る文書を電子文書と呼ぶ。 電子文書はプリンタ出力することにより紙媒体の文書を作ることができる。
Microsoft 社は、現在 PC 販売のシェアが最も高い。 電子文書作成ソフトウェアとして、 Microsoft 社は自社製品で Microsoft Word を販売している。 Windows OS の人気および表計算ソフト Excel の抱き合わせが成功し、 Microsoft Office というオフィススイートはシェアが高い。 しかしながら日本では、 Windows OS に関しては日本語での GUI 環境の整備が遅れたために、 MS-DOS でシェアの高かった IBM 社製の表計算ソフト Lotus 123 や電子文書作成ソフト 一太郎 なども存在している。政府の中の組織では、 これら和製のソフトウェアを使いつづけているようである。
政府の電子書式には、何種類かのファイル型式で配布されているものもまだある。
ある特定の言語を持つ顧客向けに製品を開発する作業をローカライズと呼ぶ。
OS が CUI であった時代、 割合個人ユーザ向けに開発された OS が Microsoft 社の MS-DOS であった。GUI を採用した Windows の日本語版は人気があったものの、 外国製品であるため、ローカライズの遅れが目立ち、 ソフトウェア使用時の日本語の性能は必ずしも良くなかった。
そこで、
OS は Windows アプリケーションソフトは日本製
という組み合わせにするユーザが多かった。
すなわち日本語環境に不満を持つユーザは Lotus 123 や 一太郎の MS-DOS 版を使い続けていた。
そこで Microsoft 社 は Windows に Microsoft Office を抱き合わせ販売した価格で売りこんだ。 また、技術的には Windows の内部 (カーネルとよばれる部分) を改良し、日本語を早く処理できるように変更した。
Lotus 123 や 一太郎は、抱き合わせ販売を不当であるとしたが、 裁判の結果が出る前に、 結果的に彼らの製品の Windows への移行が遅れたために、 徐々に Windows OS でのシェアが小さくなっていった。
Lotus 123 や一太郎から Microsoft 社のファイルを読むことはできるが、 Microsoft 社の製品を使ってそれらのファイルを読むことはできない。
一太郎を販売しているジャストシステムに関しては、 Windows の日本語変換ソフト MS-IME よりも優れた ATOK があったため、 ATOK はいまだに人気のあるソフトウェアとなっている。
OpenOffice.org では、Microsoft 社の Microsoft Office とも互換性のある無償のオフィススイート "OpenOffice.org" の開発を行っている。OpenOffice.org は、 無償のソフトウェアで印刷可能な文書型式にする PDF 型式にも変換することができる。 よって、OS に関係なく文書を配布できる仕組みをそなえている。
Google Pack が StarSuite ベースで作られた、 無償でオンラインの Web サービスを提供し始めた (Google Apps)。 Gmail くらいしか使わないかもしれないが、 クレジットカード番号の提供により、 無償でオフィスパッケージを簡単に使用することができる。 また、IBM 社は今後の Windows OS に、 今後は Microsoft Office ではなく、 OpenOffice.org ベースのオフィススイート Lotus を搭載することに決定した。 2007 年現在、Web ベース仕様の Lotus Domino Web Access が開発され、 企業で積極的に導入する動き がある。 Yahoo も、Zimbra というオープンソースのグループウェアを開発する会社を買収した。 これにより、Ajax ベースのグループウェアを開発する予定である。 Ajax とは Java, XML を使用したユーザーインターフェースの構築のことである。
メールも、企業内の文書も、プレゼンテーションツールも、 オンラインという時代が、すぐそこまで来ている。 オンラインで保守されたネットワークが構築できれば、 社内のみならず社外でも使えるグループウェアとして活用されることになる。
表計算ソフトで使用する言語の仕様について、 ISO が Microsoft ベースの OOXML を標準使用としない決定を下した。
OOXML とは Microsoft Office 2007 製品のために開発した言語であり、 今までのその他のデータ形式は。 (もちろんそれ以前の Microsoft Office 製品との互換性がある) *.odt とは互換性がない。*.xls ともない(古いものは読めるが、 新しいデータ形式は古いアプリケーションでは読めない)。 したがって、 企業サイドでも Microsoft ベースではなく、 OpenOffice.org ベースで採用することが好ましいと判断した模様だ。 ( 関連記事 1 / 関連記事 2 / 関連記事 3 )
OpenOffice.org のシェアが大きくなると、Linux や Windows などの OS によらず、 無償のソフトウェアを通じて情報を交換できるようになる。
計算機そのものを製造する会社は、マルチベンダ方式を採用し、 OS は Microsoft 社の Windows を使用し、ソフトウエアは Microsoft 社の製品の他に自社開発のソフトウェアを搭載して販売する傾向があった。
一方シングルベンダとは、Apple 社の IMac のように、OS は MacOS、 その他の製品も全て自社製品を搭載して販売することである。
近年はマルチベンダ方式でありつつ、 規格は無償の組織が定めるところによる、 という組み合わせが増えている。
Apple 社も例外ではない。ブラウザ Safari を Windows OS に載せられるように したり、 2007 年 10 月発売の Mac OS X Leopard からは、 Windows XP/Vista との dual boot をサポートする OS になった。
計算機を使って作成した文書を印刷するとき、 印刷機は PostScript ファイルを解読して、 印刷を行う。従って、電子文書を紙媒体に印刷するためには、 どのファイル型式も PostScript に変換されている。
DTP とは Desk Top Publishing の略で、机上の 計算機を用いて印刷を行う作業 のことである。 かつての活版印刷や写真写植とは異なり、 計算機を使用してレイアウトし印刷するため、 このような言葉が使われている。
紙媒体による印刷という電子文書の見かけが計算機の OS や使用するソフトウェアによらず同じように見えるということは、 とくに等しい権利を持つべき関係において重要なことである。
PDF は "Portable Document Format" の略で携帯文書形式、 とでも訳すべきものである。 異なる OS でも使用することができる。 読むには Adobe 社製の無償のファイルリーダ (file reader) Acrobat Reader を使用する。
PDF は 1993 年に Adobe 社により開発された。 異なる OS 間での文書のやりとりに使用することを目的とした文書書式である。 前身は Postscript に関する研究を行う会社であった。
使用が無償であることから、大きく普及し、 ブラウザのプラグインなども OS を問わず開発が進んでいる。
PDF ファイルの作成には、Adobe 社の有償の PDF 作成ソフトまたは他のベンダー企業の作成ソフトを使用したり、 Postscript ファイルを PDF に変換するアプリケーションソフトやプラグインを使用したり、 組版ソフトの TeX のコマンドを使用して TeX ファイルを変換して得ることができる。
PDF の優れた点は、画像として処理する一方、 カットアンドペーストが使用できるということである。
例えば GIMP で作成したロゴをカットアンドペーストして、 その文字を Emacs などのエディタに載せることができるだろうか?
画像として記録するため、どのアプリケーションソフトで作成しても、 作ったままの色彩、形状、フォントなどの体裁を維持しながらやりとりできる。
画像でありながら文書内のデータの検索が行え、 また読み上げ機能や点字ディスプレー (スクリーンリーダ screen reader) へも対応する。
本日のレポート課題 : (Subject: 第 5 回レポート「オフィススイート」)
宛先は
it-dtd-1030-rpt@e.koeki-u.ac.jpである。