どんなに美しいページを書けたとしても、それが他の人にとって読みづらかっ たり何かの問題をかかえていたとしたら単なる自己満足のページに終わってしまう。 ここでは、みずからのWebページが自己満足に終わらず、より多くの人に 感じとってもらえるページにするための注意点をいくつか示す。
Webが使えるようになって(コンピュータに限らず)本当に多くの種類の機器か ら情報にアクセスできるようになった。どんな機器でもほとんどの文字を共通に 使えるが一部そうでないものがあるので注意が必要である。
Webページを見ることのできる機器には、Windows-PC、Macintosh、
Unix系、携帯情報機器(PDA)、携帯電話などがある。Windowsでしか読み書
きできない文字があるのでこれを使わないように注意する。代表的な文字
としては1、2、3…の数字のまわりに丸が付いた文字がある。これはたと
えばMacintoshでは月、火、水のように見えたりする。また、ローマ数字
のI、II、を一文字で表す文字があるが、これは全く読めない文字になる
ことがあるのでこれらも使ってはならない。
(参考: google:
機種依存文字)
royでWebページを作成するときはあまり気にしなくて良いが、自宅の
PCでWebページを作る場合などは保存ファイル名として、漢字やスペース
を入れてしまいやすい。漢字やスペースの入ったファイルにリンクを張る
(<a href=...>
)場合、手元のPCではリンクをたどれ
ても他の人が使っているブラウザではクリックしてもページが見つからな
いという症状に遭うことがある。然るべき方法でリンクを張ればどんなブ
ラウザでもたどれるようにできるが、複雑なので最初からファイル名とし
てはASCII文字の(直接入力で入る)アルファベット、数字、ハイフン程度
のファイル名にしておくのが安全である。
文中に挿入する画像ではなく、ページ(body)の背景となる画像は明る さの一定したものを選ぶように注意する。さもなくば、文字の色として明 るい色を選んでも暗い色を選んでも、どちらも読みづらくなってしまう。 コンピュータのディスプレイは個体によって発色や明るさなどがかなり異 なるので、目の前のディスプレイで「まあ読めるだろう」程度では、 他のディスプレイでははっきり読めないと思って良い。背景には、「全体的 に明るい」または「全体的に暗い」明度の画像を選び、その反対の明度の 文字を選ぶように注意する。
画像はファイルサイズが大きいものがあるので、みずからの嗜好とし
て「最初は画像を表示しない」モードにしている人がいる。さらには、も
ともと画像の表示できないブラウザや携帯電話からアクセスしてくる人も
いる。「画像自体を見せたいWebページ」でない限り、そうした画像表示
なしの画面でも意味が伝わるように留意してページを作成する。このため
にはimg
要素のalt
属性による画像の説明文を
欠かしてはならない。
見ているブラウザのウィンドウサイズを変えるようなWebページが作れ る。しかし、見ている人にとってブラウザのサイズも重要な作業環境であ る。たとえば諸君が自分のHTMLファイルを作るときに、参考とする授業用 Webページを邪魔にならないサイズに変更した上で画面の脇に表示したよ うに、人やそのときの作業によってブラウザのサイズは大切な意味を持つ。 これを勝手に変えるようなことは相手に不快感を与えるだけである。
body要素には背景音を出すこともできる。しかし、これを静かな図書 館で開いてしまった人はどう思うだろう。最低でも、音を出すか出さない かを読者が選べるようにするのが思いやりである。
Webページは健常者だけでなく、視覚障害者、聴覚障害者もアクセスし ている。とくに、電子メイルとWebの発達は障害者にとってコミュニケー ションの幅を拡げる結果をもたらしていることを知っておく必要がある。 上記項目「画像を表示しなくても読める…」は、とくに音声読み上げソフ トを使ってWebページを読んでいる人にとって大きな意味を持つ。美しい 画像やロゴマーク画像を使う場合は、alt属性にそれを補う文章を入れて おくことは非常に有効である。
本学の理念である「公益」を重視し、より多くの人に読んでもらえる ページを目指して欲しい。少なくとも本講で習った範囲のHTML要素と、 「スタイルシート」だけを利用していれば読める人の環境を選ばない「間 口の広い」ページとなる。
画像、音楽、コンピュータソフトウェアなどには全て著作権がある。 許可なくそれらを自分のページにコピーして利用することは違法行為 なので厳重に注意する(事実多くの学生が検挙されて人生の多くの時 間を棒に振っている)。
画像などを流用する場合は、無料かつ断りなく利用して良いものであ ることを慎重に確認してから利用すること。
自分の年令と、「学生」という身分を熟慮して内容を吟味すること。 たとえ20歳を過ぎていても学生には 認められていないことがあるので十分に注意して欲しい。
法律に触れていないものであれば委縮せず、学業についてだけでなく、 サークル活動、趣味についても思う存分自分の主帳を表現しよう。
外部ページにリンクを張る場合は原則として自由に 張って良いと考えて良い。そもそもWebページは 不特定多数の人に情報を公開するためのものであるから、紹介や 参照をして欲しくないものはWebページに置くべきでない。みずからのペー ジを置く場合にもこの点に注意する。誰かに自分のページへの無断リンク を禁止することは全く強制力を持たないし、それを望むのも本来のWebの 目的から外れている。
ただ、原則そうだとはいっても、自分がリンクを張る場合他人のペー ジで「リンクを勝手に張るな」と主張していたとして、それを無視するの もトラブルを生む可能性があるので得策ではない。
自分のプライバシーに注意を払うのはもちろんだが、他人のプライバ シーにも気をつける。とくに写真などで友達の写っているものを載せる場 合は確認を取ること。
個人情報については差し支えない範囲での開示に留めると良い。人に よって基準は異なるだろうが、名前、所属、市町村程度までのものにおさ めるのが良いだろう。逆に、名前を含めて一切を明かさないのは確かに安 心かもしれないが、自分について何も明かさないことは相手のことを何も 教えてもらえないことを意味する。正体不明の人に自分のことを教えたく ないように、相手もそう思っている。また、正体不明なまま済ませる活動 場は悪いことをしてもばれないと思う人が集まる可能性が高く、自分の身 元とがばれないこととは無関係に安心できない。みんな匿名で、自分も名 前を教えたくないような場所があったとしたら、その場所自体があまり安 心できないところである可能性が高い。
いずれにせよ、一般社会と同様怪しい人/モノを無警戒に近づかない、 という姿勢を守ることが大切で、恐れすぎて外に出て行かないのは機会の 喪失である。